ゴミコロレポート 2021/Feb.
寒い寒い1月がようやく過ぎ去って、穏やかな朝。
快晴とまではいかないけれど、なかなか上々のゴミコロ日和。
のぶくんは、はやる気持ちを抑えて(想像するに…)9時35分に我が家にやってきた。
先月のあの感動の出来事をレポートに書いたのをしっかり読んでくれていて、「ブ、ブ、ブ、ブログ読みました!感動しましたっ!」と報告を受けていたので、調子にのったわたしは、いつもお待たせの常習犯にもかかわらず、なに喰わぬかおで 「のぶくん、持ってく道具類玄関といつもの場所にあるから」と上級の依頼をかけて、あたふたと準備を整えて車に行くと、ちゃんと道具類を車の後ろに乗せておいてくれている。
「おおおおおー!のぶくんすばらしいねーありがとー!」
さあ!車に乗り込んで一路八木海岸へGO!
街中は予想外に車が多く、もたもたしながら海岸にたどり着くと今日の参加者のみなさん方はすでに駐車場に集合していて、いつものことながら、のぶくん時間で出発したらもう少し早く着くんだけどなぁ〜と。
今回の参加者は、高橋家からはひなちゃん、よーさま&しんちゃん、金田親子に竹村ファミリー、ありさちゃんとママ、東さん親子、近藤ファミリーにさえちゃんととと&かか、そしてえーちゃんとのぶくんとわたし。
のぶくんとお父ちゃんたちに荷物を託し、先にみんなを送り出し、車を停めなおしてからみんなのうしろを追う。
遺跡公園のトイレから出てきたしんちゃんとひろちゃんに追いついて3人で海に向かう。
しんちゃん、いつものように何かをボソボソしゃべりながら、平和なペースで歩いているが、階段のところに来たとたん、さあ今だ!とばかりに横に侍るふたりの乳母に向かってそれぞれの手を差し伸べてきた。
ので、咄嗟にその手をとって、ぎゅっと手をつないで階段をおり始めたところで “はっ!”として、しんちゃんの顔を見ると… しんちゃんの口もとがにやにや…
「しんちゃーん!両手にはなやなぁー、顔にやけてんで」と言うと、
「ちゃうんや…これはな…しんちゃんな…」となんかぶつぶつ、言い訳している。
そんなやりとりをしている間におたのしみのひとときは過ぎ去り、浜辺の歩道に着地。
「じゃあ、もう大丈夫やな?」と手を離そうとすると、なんかぎゅうーと力が入ったような。
しんちゃん、もうちょっとおっさんやけど、やっぱりかわいい。
浜の方に目をやると、先発隊はもうすでにゴミ袋をトングを手にそれぞれ、思い思いの場所へと散らばっていってる。
ビニール袋が風をはらんでなびき、小さなこどもたちが踊っているように見えて、そよ風がこころに舞い込んでくるような感覚をおぼえる。
小高いところにあるいつものスタート地点にまるちゃんがいて、こっちに向かってあつい視線を送ってくるので、なんだろうと思いながら近づいて行くと、待ちきれない様子で 「あいちゃんにこれあげようと思って。見てみて!」 と言いながら、ゴソゴソ何かのキットを袋から取り出して、
「これな、万華鏡つくれるねん」
「ああ、まるちゃんが作ってるのFacebookで見たみたわ!」
「こうやってな、海のプラゴミ入れてな…」
「あ…ニョロニョロも入れたらええんちゃう?」
「ほんまや、入れてみよか」
などと言いながら、万華鏡キットにざくざくカラフルなプラスチック片を入れこんで、蓋をとじると出来上がり!
さっそく万華鏡をのぞきこんだまるちゃん、
「わぁ〜さすがアーティストや、ニョロニョロ効いていい感じやでー」 と。
たった一個、みどりのニョロっとしたパーツ入れてみたらって提案しただけやのに、大きな賞賛をいただきありがとうございますー
世間はどうあれ、わたしたちを取り巻く世界の平和さを感じるたびこころがほっと安らぐ。
そして、世界にひとつの即席万華鏡をのぞきこんで、その感覚がまたやってくる。
これはゴミやで、みんなの嫌われものの… 反面、こうやってたのしめるのならそれは、やっぱり宝ものやで、とも思う。
2月のゴミコロリの少し前に『プラスチックの海』という映画を見たのだけど、世界の海に流れ込んださまざまなプラスチックが生態系に及ぼす影響、ポリネシアなど、島に住むひとびとの生活にも大きな影響を及ぼし、そして巨大なゴミの渦“ジャイヤー”の現状。
目の当たりにすると、衝撃が大きすぎて頭が真っ白になってしまった。
の…だけど、万華鏡が見せてくれるひかりの世界が、一変、わたしに明るい希望をもたらしてくれたようで。 まあね、できることを少しづつでもし続けることが今は大切。
そしてそれを未来のひとたちと共にできているということは、たとえそれが小さな事でもいつか、きっと、なんらかのインパクトを持って世界をかえるチカラになるだろうと信じてるから。
さてと、いっちょ今日も行ってみようか。
キョロキョロあたりを見渡して、東の突堤にちらほらゴミコロる姿を見つける。
岩場に立って …ん?
足元に必死に這いつくばって、穴の間にせっせとトングを差し込んでコロる生き物が。
…ん?
のぶくん!
そう言えば、のぶくんの活動じっくり見たことなかったかも…と、改めて観察してみると… こっち、あっち、あっちにこっち、収穫物はあるようなないような、と思いきや、おおおお、ついに引き上げた!ファンタグレープ。
ようやく乗ってきたか?と、息をころして見ていると岩の隙間になんらか獲物を発見した様子。
手先に意識を集中させて獲物を追い詰める、のぶコロよーく。
あ…ついにリーチしたか。
慎重にトングを使いこなし、プルプルっと獲物を引き出した。
立ち上がったのぶコロよーく、どろ色に変色したマスクを口もとにあて満面の笑み。
「あ、あ、あ、あべのマスク!」
キタァアアアアア〜!
なんとも嬉しそうなのぶコロよーくの向こう側で、 「ジョンソン、ダニエル…おおおっ、ジョセフィーーーヌ!」と、愁いを帯びたドラマチックな声が。
…ん? ひなちゃん?
事態を確認しに近づいていってみると、岩の隙間からプラスチックボトルを拾い上げては、命名しているようで。
それにしてもなぜオールフォーリナー?
「で、ジョセフィーヌは誰なん?」
「ん?ジョセフィーヌ?」
けいちゃんがひなちゃんに年代もののコカコーラのペットボトルを手渡し、冷静さを取り戻したひなちゃんがジョセフィーヌを紹介してくれる。
「あれ?これ、ブラジルW杯の記念ボトルやん。さすがジョセフィーヌやな」
「え、そうなん?ラグビーの?」
「いやいやサッカーやで。ラグビーは日本開催やん」
「???」
そんなやりとりしながらも、女子ふたりの物色は続き、 「カトリーヌゥウウウ〜!」 と叫んでいるので、見せてもらうと“農薬”と書かれたちょっと怖いボトル。
これは危険なので、おとなのわたしが回収。
怖いボトルを写真に収めていると、今度は反対側で 「ユリウスーーー!」
まったくもって時代を超越したインターナショナルな展開。
「ユリウス、だれぇえええ〜?」
「ユリウスな、抜けへんねん」
見てみると、確かにガシッと岩のおっさんにつかまれ、ほうほうのていで、白い何かがほそ長い唇を岩の隙間から覗かせている。
「これ、とれへんわ」
「いや、いけんで!がんばって!」
と、はげましてみると… ひなちゃん、トングではさんでみたり、手でガシガシしたり、ゆすったり、こすったりしているうちに白い何かも、下で必死につかんでる岩のおっさんも、あきらめモードに入ってきたのか、少しづつ上に引き上がってきた。
そしてついに!白い何かは岩の上にひっぱりだされ、その全貌が明らかになったのである。
「これがユリウス…確かにユリウスっぽい」
ユリウスっぽいかどうかは、まあ、どうでもいいか… バッテリー補充液でした。
ほんと、いろんなものが出てくるね。 海のゴミコロリ。 この日の個性的なコロリものは。
竹村兄弟がヒトデをコロって、そしたら、サトルもヒトデをコロってて。
さらにサトルはいい具合に乾いた笹もコロって、もって帰れないかと真剣に思案していて。
しんちゃんはゴミ置き場から養命酒のびんをコロって。
わたしはレインボーのカイトをコロって。
いろんなものがありますね。
最近のコロ活、1時間では飽き足らず、みんなが集合場所に戻ってくるのは12時少し前。
そのころになって、カンフーを終えたよーさまがやってきた。
来たなり、よーさまが1月に誕生日を迎えたことを思い出して、みんなでハッピバースデーの歌でお祝いしてみたら、予想外に照れてる…
そんなことしていたら、八木の自治会長さんがやってきて、やぁやぁこんにちはーとなり、とにかく写真をみんなで撮って、おやつタイムには、のぶくんの差し入れの“あんこもち”を、はぁはぁ熱い視線を送っていたさえちゃんに、“初”のみんなと同じおやつをわたしが差し上げるという栄誉をいただき、そのうしろでは、石田のぶコロよ〜くが 「ギ、ギ、ギター侍で、ひ、ひ、ひ、ひまちゃん斬っていいですか〜?」と。
その言葉に一同凍りつき、いっせいにひまちゃんの方に視線が集まる。
ひまちゃんはというと、目の奥になにやら、わたしたちがはじめてみる、背筋が凍るような黒いひかりを灯している。
「のぶくん、まじでひまのこと斬るん?」
静かにドスの効いたその言葉に、のぶコロよーく「ごくり…」
「わ、わ、わ、わたしひまわりって言うじゃなーい………」
ぎろり。
たらり。
「………」
ちーん。
はい、今日も平和にゴミコロリ、終了しましたー!